相続税専門税理士の富山です。
今回は、特定路線価の設定について、お話します。
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路線価がある地域なら路線価を使う、なければ倍率を使う
土地の評価方法には、大きく分けると路線価方式と倍率方式の2パターンがあります。
路線価方式
路線価が定められている地域の土地は、路線価方式で評価します。
「路線価」という「路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの金額」をベースにしながら、その土地の形状等を加味して評価します。
路線価は、財産評価基準書の路線価図に記載されています。
例えば、「30F」のように書かれていれば、路線価は30,000円であることを意味します。
その道路に接している土地は、1㎡当たり30,000円をベースに計算することになります。
倍率方式
路線価が定められていない地域の土地は、倍率方式で評価します。
その土地の固定資産税評価額に倍率を掛けて計算します。
路線価が設定されていなければ税務署に設定してもらえる
路線価地域にある土地は、路線価で計算しなければなりません。
でも、評価しようとする土地が、道路に接してはいるものの、その道路に路線価が設定されていない場合もあります。
このような場合、「特定路線価設定申出書」というものを提出して、税務署に「特定路線価」という路線価を設定してもらうことができます。
2本の道路に接していれば1本だけの場合よりも土地の価値が上がる
2本の道路に接している土地の場合、1本の道路にしか接していない土地に比べて、使い勝手が良くなり、結果として土地の価値も上がります。
相続税の申告においては、2本の道路に接している土地を評価する場合、どちらかの道路を「正面路線」とし、その路線価をメインとしつつ、もう1本の道路の路線価をメインの路線価に加味して、基準となる路線価を計算します。
路線価が設定されている道路と設定されていない道路がある場合
上記の図のようなA道路(路線)とB道路(路線)に挟まれている土地があったとします。
A道路には30,000円の路線価が付されていて、B道路には路線価が付されていないとします。
このような場合、B道路に特定路線価を設定してもらい、その特定路線価も加味して土地を評価するのでしょうか?
財産評価基本通達(一部抜粋加工)
14-3 特定路線価
路線価地域内において、相続税、贈与税又は地価税の課税上、「路線価の設定されていない道路のみに接している宅地を評価する必要がある場合」には、当該道路を路線とみなして当該宅地を評価するための路線価(以下「特定路線価」という。)を納税義務者からの申出等に基づき設定することができる。
上記通達に「路線価の設定されていない道路のみに接している宅地を評価する必要がある場合」とあるとおり、特定路線価を設定してもらえるのは、すべての道に路線価がない場合のみです。
上記の図のように30,000円の路線価が付された道路に面しているのであれば、その30,000円の路線価だけで計算すればOKです。
想う相続税理士