相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税の申告における土地の評価の留意点について、お話します。
通達どおりに評価すればOKというワケではない
令和4年4月、最高裁がタワマン節税を否認(上告を棄却)した事例がありました。
この事例では、13億8,700万円で購入した共同住宅を、財産評価基本通達に従い約3億3,000万円で申告しましたが、認められませんでした。
否認された(ダメと言われた)理由の考察は別として、通常、相続税の申告において相続財産の評価の拠り所とされる財産評価基本通達に従って評価しても、それが課税庁に認められない可能性がある、ということは押さえておくべきです。
タワマンじゃなくても評価にブレは生じる
相続税の申告で土地の評価をしていると、自分で計算した評価額について、感覚的に「こんなに安くなって大丈夫だろうか?」とか「もうちょっと安くなってもいいよな」と思う土地に出くわすことがあります。
評価減を適用していくと、当初、路線価ベースで単純に計算した金額よりも、かなり低い評価額になることもありますし、こんな場所のこんな状態の土地なのに、こんなに高い評価額になるのか、と思うこともあるのです。
実際に評価する土地は、財産評価の本に載っているようなキレイな土地ばかりではありません。
その土地の「個性」により、評価額は大きく変動します。
評価の趣旨を理解しているか
このような場合、「計算ミスもしていないし通達に従って計算しているのだから問題ない」とすぐに判断するのではなく、その計算過程を再確認し、安い・高いと感じた要因を探るべきです。
土地の評価や評価減には、「理由」や「趣旨」があります。
それらに照らし、その土地の評価が妥当かどうかを検討すべきです。
何も考えず、機械的に数式に当てはめて評価するのは危険です。
想う相続税理士
また、例えば、三大都市圏以外にある1,000㎡以上の一定の土地については、「地積規模の大きな宅地の評価」を適用することができるのですが、これは、戸建分譲地として開発した場合に道路や公園など、売れない部分(「潰れ地」と言います)が生じることを考慮したものです。
しかし、エリアによっては、1,000㎡以上でも単体で使用される(潰れ地が生じない)のが「当たり前」というケースもあり得ます。
また、下記の記事でも取り上げましたが、容積率の異なる地域にまたがっていたとしても、その趣旨や評価の実態から考えて、評価減の適用ができないケースもあります。