相続税専門税理士の富山です。
今回は、「容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価」について、お話します。
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容積率なんて土地の評価に関係あるの?
路線価地域にある土地を評価する場合には、路線価方式で評価します。
「路線価×面積」です。
「容積率が高いと、その分、建物を高く(厳密には延べ床面積を広く)建てられるんでしょ。でも、それって路線価に織り込まれているハズだから、容積率なんて気にしなくていいんじゃない?」
と思われるかもしれません。
その通りです。
容積率は路線価に反映されています。
しかし、容積率が300%と200%の地域にまたがっている土地がある場合、300%の容積率を反映した路線価で全体を評価したら、容積率が200%の土地の部分については、評価額が過大になってしまいますよね。
路線価方式は、その土地が接している道(路線)の路線価を元に評価します。
1本の道にしか接していなければ、その道(「正面路線」と言います)の路線価だけを元に評価します。
でも、正面路線に接していない、土地の裏手側の部分の容積率が低い場合、その部分もひっくるめて正面路線側の高い容積率ベースで評価したら、土地を過大評価してしまうことになる、ということなんです。
高い容積率ベースで全体を評価することになるから減額する
「正面路線価×面積」で評価するのは変更できません。
「それなら、過大評価になる分を別で減額しましょう」というのが、「容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価」の趣旨です。
具体的には、容積率の異なる地域ごとの「面積」「容積率」を元に「容積率の格差に基づく減額率」を計算し、その減額率の分だけ、評価額を下げて評価します。
容積率が異なっていても減額できない場合がある
次のような場合には、その土地が容積率の異なる地域にまたがっていたとしても、「容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価」を適用することはできません。
正面路線価が低い容積率ベースの場合
裏手側の方が容積率が高い場合です。
この場合、本来であれば、正面路線価で土地全体を評価すると、土地の裏手側部分については過小評価することになります。
高くなっていないのに減額するのはオカシイので、このような場合は対象外です。
異なる容積率の地域がどちらも道に面している場合
正面路線側と裏手側で容積率が異なることが、問題の発生原因です。
ですから、土地が容積率の異なる地域にまたがっていたとしても、そのどちらの地域も正面路線に接しているのであれば、どちらの容積率も正面路線価に反映しているハズです。
そうなれば、減額する理由は見当たりません。
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