相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続放棄やお墓に係る相続税の課税関係について、お話します。
相続放棄をするとどうなる?
亡くなった方の借入金が多い場合などに、相続放棄を検討される方もいらっしゃると思います。
下記にあるとおり、相続放棄をすると「初めから相続人ではなかった」モノとみなされるため、土地や預貯金などのプラスの財産を相続することができなくなり、また、借入金などのマイナスの財産も引き継がなくてよくなります。
民法
(相続の放棄の効力)
第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
もし、先祖代々のお墓がある場合、相続放棄をすることにより、そのお墓は相続することができなくなるのでしょうか?
相続税におけるお墓の取扱い
お墓には、相続税がかかりません。
相続税法(一部抜粋)
第12条 相続税の非課税財産
次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
二 墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの
相続税法基本通達
12-1 「墓所、霊びょう」の意義
法第12条第1項第2号に規定する「墓所、霊びょう」には、墓地、墓石及びおたまやのようなもののほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地その他の物件をも含むものとして取り扱うものとする。
相続放棄をすると、プラスの財産を相続することができなくなりますが、お墓は相続税においては非課税財産であるため、相続放棄をしても引き継げるのでしょうか?
でも、良く考えると、相続税がかかるかどうかと、相続放棄の対象になるかどうかは関係なさそうですよね。
ということは、相続放棄をすると、お墓は相続できなくなるのでしょうか?
お墓は相続財産ではない!
お墓は「祭祀財産」です。
相続財産ではないため、遺産分割の対象にはならず、また、その承継と相続放棄は無関係です(相続放棄をしても承継することができます)。
下記にあるとおり、「相続とは別の基準で承継されるもの」として取扱われます。
裁判所ホームページ(一部抜粋)
遺産分割手続Q&A
1 遺産の範囲について
祭祀財産(祭具・墓など)
相続とは別の基準(慣習等)で承継されるものであり、遺産分割の対象にはなりません。慣習が明らかでなく相続人間でも決められないので家庭裁判所の調停で話し合いたいという場合には、別に祭祀承継者指定の申立てが必要です。
想う相続税理士