【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

交通事故でご遺族が損害賠償金や保険金を受け取った場合の相続税申告の注意点

相続税専門税理士の富山です。

今回は、交通事故でお亡くなりになった方のご遺族が、通常の死亡保険金以外のお金を受け取った場合の課税関係について、お話します。


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ご遺族が加害者に損害賠償金を請求した場合には非課税

ポイント
ご遺族が加害者に損害賠償金を請求した場合、それが、精神的苦痛に対する慰謝料の請求に該当するときは、そのご遺族ご自身の権利に基づいて請求することになるため、その受け取る損害賠償金は、相続税の課税対象とならず、所得税法上も非課税となります。

民法(一部抜粋)
(近親者に対する損害の賠償)
第七百十一条 他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。

所得税法(一部抜粋)
第9条 非課税所得
次に掲げる所得については、所得税を課さない。
十八 保険業法に規定する損害保険会社又は外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの

亡くなった方が亡くなる前に損害賠償請求に着手している場合には課税

ポイント
上記と違い、交通事故に遭われた方が、ご自身で損害賠償請求を行っていて、損害賠償金を受け取る前に亡くなった場合には、その損害賠償請求権が相続税の課税対象となります。

財産評価基本通達(一部抜粋)
210 訴訟中の権利
訴訟中の権利の価額は、課税時期の現況により係争関係の真相を調査し、訴訟進行の状況をも参酌して原告と被告との主張を公平に判断して適正に評価する。

損害保険金を受け取らずに亡くなったら?

ポイント
亡くなった方がご自分で加入していた損害保険があり、その契約に基づいて保険金を請求されたものの、保険金を受け取る前にお亡くなりになったため、ご遺族の方が保険金を取得した場合には、その交通事故による傷害が、死亡の直接の基因となった傷害に該当するか否かで、相続税申告上の取扱いが異なります。
該当しない場合には、上記の損害賠償請求権と同じように、保険金請求権が相続税の課税対象となります。
該当する場合には、死亡保険金扱いとなり、みなし相続財産として「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が適用できる場合があります。

相続税法基本通達(一部抜粋加工)
3-7 法第3条第1項第1号に規定する保険金
法第3条第1項第1号の生命保険契約又は損害保険契約の保険金(非課税枠が適用できる保険金)は、被保険者(被共済者を含む。以下同じ。)の死亡(死亡の直接の基因となった傷害を含む。)を保険事故(共済事故を含む。以下同じ。)として支払われるいわゆる死亡保険金(死亡共済金を含む。以下同じ。)に限られ、被保険者の傷害(死亡の直接の基因となった傷害を除く。)、疾病その他これらに類するもので死亡を伴わないものを保険事故として支払われる保険金(共済金を含む。以下同じ。)又は給付金は、当該被保険者の死亡後に支払われたものであっても、これに含まれないのであるから留意する。
(注) 被保険者の傷害、疾病その他これらに類するもので死亡を伴わないものを保険事故として被保険者に支払われる保険金又は給付金が、当該被保険者の死亡後に支払われた場合には、当該被保険者たる被相続人の本来の相続財産になるのであるから留意する。

無保険車傷害保険契約に係る保険金をご遺族が受け取った場合

ポイント
死亡に起因して保険金を受け取った場合には、死亡保険金扱いとなり、相続税の課税対象になります(上記でお話した一定の非課税枠の適用はあります)が、無保険車傷害保険契約に係る保険金は、保険会社が損害賠償請求権を代位取得することから、支払われる保険金は損害賠償金としての性格を有するため、死亡保険金とは取扱われません。したがって、相続税の課税対象とならず、所得税法上も非課税となります。

相続税法基本通達
3-10 無保険車傷害保険契約に係る保険金
無保険車傷害保険契約に基づいて取得する保険金は、損害賠償金としての性格を有することから法第3条第1項第1号の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる保険金には含まれないものとして取り扱うものとする。

想う相続税理士

相続税の申告においては、「相続税がかかるかどうか」に加え、かかる場合には「非課税枠が適用できるかどうか」の判断が必要となりますので、ご注意を。