相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続における生命保険の役割について、お話します。
保険契約の内容を理解するのは大変?
保険会社に「1,422万円貢いだ」夫婦…加入保険の恐ろしすぎるワナ【保険のプロが警告】 https://t.co/cYs65ZWwy7 @gentoshagoより
— 想う相続税理士 秘書 (@japantaxprosec) August 15, 2022
上記の記事には、終身保険でいつ亡くなっても5,000万円の死亡保険金が下りると思っていたのに、65歳になったら死亡保障が100万円になってしまった、というケースが取り上げられています。
保険については、保障の内容をきちんと理解すること、今後の保険料の変更の有無・内容をきちんと確認しておくことが大事です。
このケースでも、そのような保険だと納得して入っていれば良かったのですが、良く分からないでみんな入っているからという感じで入ったため、保険会社に貢いだ、なんていう感覚になってしまうワケです。
生命保険金は相続税がかからない場合がある
亡くなった方がご自分に掛けていた生命保険がある場合、その生命保険金は相続税の課税対象となります。
ただし、相続人が受け取った場合には、
500万円×法定相続人の数
の非課税枠があるため、例えば、法定相続人が3人の場合には、
500万円×3人=1,500万円
までは相続税がかかりません。
この取扱いは、生命保険金に「ご遺族の生活保障」としての側面があることを考慮したモノです。
相続税の申告では生命保険金が切り札になる
本来、生命保険は、前述のように、ご遺族の生活を保障するためのお金を用意するために入るモノですが、相続(遺産分け)及び相続税申告においては、それ以上の効果を生み出します。
相続税の申告においては、相続税の納税資金の原資になりますし、また、遺産分割においては、間接的に代償分割金の原資にすることができます。
つまり、「相続税を納めるのが大変!」とか「遺産分けがモメて大変!」という場合、生命保険がその窮地を救ってくれる場合があるのです。
相続税は超過累進税率であるため、相続財産が多ければ多いほど、税率がどんどん上がっていきます。
不動産や同族会社の株式など、お金に変えることが難しい、または、現実的に不可能な財産を多く持っている場合、相続の際に、相続税の納税資金の手当ができないと大変です。
いっぺんにまとまったお金が用意できなくても、生命保険に加入することにより、納税資金の目途を付けることが可能です。
また、その同族会社が生命保険に加入し、生命保険金を退職金の原資にすることもできます。
また、遺産分けを「お金で解決」する場合、その「お金」をしかるべき相続人の方に直接渡すことができます。
生命保険金は、契約で受取人を指定することができるため、相続人間の遺産分割協議を経ずに、特定の方にダイレクトに大金を渡すことができます。
同族会社の株式を後継者である長男に全株相続させるため、その見返りとして、他の相続人に現金を用意しなければならない、というような場合、長男を受取人として生命保険に加入しておけば、長男がその生命保険金を「代償分割金」として他の相続人に支払うことができます。
ただし、その前提として、その生命保険はきちんとお金が下りる契約になっていないといけません。
上記の記事のケースのように、保険金が途中で大幅に減額されてしまうようなことがあると、その減額後に相続が発生した場合、せっかくの生命保険の機能が活かせなくなってしまうのです。
想う相続税理士