相続税専門税理士の富山です。
今回は、配偶者居住権に係る小規模宅地等の特例の適用について、お話します。
配偶者居住権が設定された場合、小規模宅地等の特例は適用できる?
配偶者居住権は建物に対する権利(自宅に住むための権利)だが、住むためにはその敷地も利用することになるため、配偶者居住権の取得に付随して、その敷地利用権も取得することになる
この敷地利用権は「土地の上に存する権利」として小規模宅地等の特例の適用対象となり得る
その敷地の敷地所有権(その敷地のうち配偶者居住権に係る敷地利用権以外の部分)も同居親族が取得する等の一定の要件を満たせば、小規模宅地等の特例の適用対象となり得る
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面積に注意
小規模宅地等の特例の特定居住用宅地等については、限度面積が330㎡までと決まっています。
上記の例で、
自宅の敷地の面積:500㎡
敷地利用権:2,000万円
敷地所有権:3,000万円
の場合、
敷地利用権の面積:500㎡×2,000万円/(2,000万円+3,000万円)=200㎡
敷地所有権の面積:500㎡×3,000万円/(2,000万円+3,000万円)=300㎡
と計算します。
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どちらから特例を適用すればトクになる?
敷地利用権も敷地所有権も、評価額の単価は同じです。
2,000万円/200㎡=10万円
3,000万円/300㎡=10万円
ということは、330㎡に達するまで、どちらを先に適用対象にしても、80%減額できる金額は変わりません。
しかし、配偶者が取得した財産については、「配偶者の税額軽減」により、「配偶者の法定相続分相当額」または「1億6,000万円」のいずれか多い金額まで相続税がかかりません。
したがって、配偶者以外の取得財産である敷地所有権の方から先に小規模宅地等の特例を適用した方が、相続税が安くなります。
上記の例で言えば、長男が取得した敷地所有権300㎡についてマックスで適用を受け、330㎡枠の残りの30㎡については、奥様が取得した敷地利用権について適用を受けるのです。
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