相続税専門税理士の富山です。
今回は、土地の売却と小規模宅地等の特例の関係について、お話します。
土地は売れる時に売る!
相続財産の中で、相続した方が困るのは土地です。
相続人の方がその土地に家を建てたりするのであれば別ですが、既にマイホームがあれば、その土地は持っているだけの土地になり、固定資産税の支払いや、草刈りなどの管理がずっと続きます。
自分はまだいいけど、自分の子供の代にそれを引き継がせるのは酷だ、と考える方もいらっしゃいます。
そうなると、土地を売って手放し、お金に変えるというのが理想です。
とはいえ、売るのは相手がある話ですので、買ってくれる方が見つかるまで時間がかかったりします。
買ってくれる人が現れたら、千載一遇のチャンスです。
その機会を逃さないようにしましょう。
相続税の申告が終わるまで財産には手が付けられない?
「遺産分割協議が成立しても、相続税の申告がまだだから、財産には手を付けちゃダメですよね?」とおっしゃるお客様いらっしゃったりしますが、そんなことはありません。
相続税は、死亡日時点の財産に対して課税されますので、基本的には、死亡日時点の財産をきちんと申告しさえすれば、亡くなった後すぐに売ってしまおうが、使ってしまおうが問題ありません。
しかし、申告期限まで(つまり、丸々10ヶ月)その財産を売ってしまわない方がいい場合もあります。
所有継続要件に抵触しないか?
小規模宅地等の特例というモノがあります。
要件を満たせば、亡くなった方やその親族の居住用や事業用の宅地について、一定の面積まで最大80%引きで評価することができます。
この「要件」に、「その宅地を取得した親族が申告期限まで土地を引き続き所有する」という「所有継続要件」あります。
つまり、申告期限までに売却してしまうと、要件を満たさなくなってしまうのです。
「亡くなった方やその親族の居住用や事業用の宅地」は相続人の生活の基盤になっているだろうから、相続税を安くしますよ、というのが、小規模宅地等の特例の趣旨です。
相続人がすぐに売ってしまったということは、売っても大丈夫な土地なんだから、相続税を安くする必要はないよね、ということで、申告期限までに売却した土地については、適用が受けられないのです。
館林市に出張訪問する相続税専門税理士から一言
想う相続税理士
小規模宅地等の特例のうち、居住用の宅地(「特定居住用宅地等」)については、配偶者が相続した場合には、所有継続要件が撤廃されます。
つまり、申告期限までに売却してもOKです。
また、相続した土地を3年10ヶ月以内に売却した場合には、売却益(譲渡所得)の申告の際、相続税の一部を経費にすることができます。
つまり、所有継続要件を満たさないことから、小規模宅地等の特例の適用を受けられず、相続税が高くなってしまったとしても、その後の所得税の申告においては、その分、経費が多くなり、所得税が安くなる、ということです。
これらのことも踏まえて、損をしないように、そしてチャンスを逃さないように、相続や売却の話を進めましょう!