相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続時精算課税による贈与税の還付を受ける方法について、お話します。
相続税の当初申告で還付を受けることができる!
「相続時精算課税」という贈与に対する課税方法があります。
「相続時」に相続税を「課税」して「精算」することを条件に、贈与時は2,500万円まで贈与税を非課税とする制度です。
2,500万円を超えると、一律20%の贈与税が課税されます。
3,000万円の贈与を受けた場合には、(3,000万円△2,500万円)×20%=100万円の贈与税を納めることになります。
「相続時に精算の課税」をするので、100万円の贈与税を払って終わり、ではありません。
その3,000万円も、他の一般の相続財産と同様に、相続税の課税対象に含めて相続税を計算します。
そのままだと、贈与税と相続税がダブルで課税されることになってしまうので、その調整のため、計算された相続税から、納めた100万円の贈与税を差し引いて相続税を計算します。
例えば、相続税が300万円と計算された場合、300万円△100万円=200万円だけ、相続税を納めればいい、ということになります。
100万円の贈与税は相続税の前払いだった、という感じです。
相続税を300万円払って、100万円の贈与税を返してもらった(でも手続き上は、これから払う相続税と相殺してもらった)とも考えられます。
相続時精算課税贈与財産には、最終的には、相続税しか課税せず、贈与税は課税しないからです。
もし、相続税が60万円と計算されたら、60万円△100万円=△40万円となります。
前払いが多過ぎた、ということになるため、この40万円は相続税の申告の際に還付を受けることができます。
第1表には還付口座を記入する欄がない!
所得税の場合、確定申告書の第一表には「還付される税金の受取場所」という欄があり、還付申告になる場合、ここに還付して欲しい口座を記入すれば、その口座に還付金を振り込んでもらえます。
ところが、相続税の場合には、第1表に還付口座を記入する欄がありません。
では還付を受けたい場合、どうすればいいかというと、「第1表の付表2・還付される税額の受取場所」を提出します。
この付表には、還付口座等を記入する欄が設けられています。
還付の期限は亡くなってから5年以内!
この還付を受けるのには期限があります。
相続税法基本通達
27-8 還付を受けるための申告書の提出期限
法第27条第3項に規定する申告書は、相続開始の日の翌日から起算して5年を経過する日まで提出することができるのであるから留意する。
期限の起算日は、「相続の開始があったことを知った日の翌日」でも、「相続税の申告期限」でもなく、「相続開始日(死亡日)の翌日」です。
5年を経過すると、その請求権は事項により消滅します。
想う相続税理士
この場合、控除しきれず(上記の40万円のように)マイナスになっても、その控除しきれない金額は還付されませんので、ご注意を。