【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

【税理士が解説】相続税の計算表の見方・使い方

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の計算表の見方・使い方について、お話します。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


分かりづらい相続税の速算表

相続が発生して、「うちは相続税がいくらかかるんだろう?」と心配になって、ネットで検索してみたら、相続税を計算するための表が出てきたけれど、この表の見方がよく分からない、とお悩みになっていらっしゃる方もいるのではないか、と思います。

具体的には、このようなモノです。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

この表を使う前にやらなければならないこと

この表を使うためには、まず次の計算をする必要があります。

亡くなった方の正味の相続財産の合計額を計算する

正味とは?

預金がたくさんあっても、借金が同じだけあれば、相続人の方は預金を相続できるけれども、借金も引き継がなければならないワケですから、相続税は借金を引いた後の金額に対して課税されます。

つまり、債務があったら、その債務の金額をマイナスして相続税を計算します。

お葬式の費用は債務ではありませんが、相続人の方が負担することになるモノですから、これも同様にマイナスします。

みなし相続財産を忘れないで

また、この場合の相続財産には、みなし相続財産と言われる死亡保険金等も含めます。

相続税がかからない財産もあるんです

相続税がかからない財産(非課税財産)は除外(マイナス)します。

仏壇や墓地などの外、例えば、死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠がありますので、死亡保険金がある場合には、その計算した非課税金額をマイナスします。

贈与財産にも相続税がかかる場合がある

財産を取得する方が、相続開始前3年以内に亡くなった方から贈与により取得した財産は、相続税の課税対象となりますのでプラスします。

遺産に係る基礎控除額を差し引く

相続税の非課税枠である「遺産に係る基礎控除額」を、正味の相続財産の合計額から差し引きます。

この差し引いた後の金額を「課税遺産総額」と言います。

遺産に係る基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算します。

相続放棄した相続人がいたら?

この場合の法定相続人の数は、相続の放棄をした方がいても、その放棄がなかったものとしてカウントします。

養子の方がいたら?

法定相続人の方の中に、養子の方がいらっしゃる場合、法定相続人の数にカウントできない場合があります。

相続人の中に、亡くなった方の実子の方がいる場合には1人まで、実子の方がいらっしゃらない場合には2人までカウント可、という制限があるため、それより養子の方の人数が多くても、基礎控除の金額は増えません。

課税遺産総額を各法定相続人の法定相続分に応じて按分する

例えば、課税遺産総額が1億円で、法定相続人が「奥様・長男・長女」の場合、各法定相続人の法定相続分は、

妻:1/2
長男:1/4
長女:1/4

となります。

この割合で課税遺産総額を按分します。

すると、

妻:1億円×1/2=5,000万円
長男:1億円×1/4=2,500万円
長女:1億円×1/4=2,500万円

となります。

この、計算された「5,000万円」「2,500万円」「2,500万円」を相続税の速算表に当てはめて計算します。

相続税の速算表は「掛けて」「引く」

相続税の速算表は、「税率を掛けて」「控除額をマイナス」します。

上記の奥様の金額は5,000万円です。

相続税の速算表の「法定相続分に応ずる取得金額」の欄を見ると、「5,000万円以下」のところに該当します。

その「税率」「控除額」を使って、

奥様:5,000万円×20%△200万円=800万円

と計算します。

同じように、長男や長女についても計算すると、

長男:2,500万円×15%△50万円=325万円
長女:2,500万円×15%△50万円=325万円

となります。

相続税の速算表を使って計算した金額を合計する

上記の金額を合計します。

すると、

800万円+325万円+325万円=1,450万円

となります。

これが「相続税の総額」(全体の相続税)です。

誰が財産を取得するか関係なく、財産全体にかかる相続税ということになります。

相続税の総額を財産の取得割合で按分する

次は、この全体の相続税を、財産を取得した方々の中で、どう負担し合うか、という話になります。

自分が相続した財産の分だけ、相続税を払っていただく、ということになります。

財産を多く相続した方には、それ相応の相続税を負担してもらい、少なく相続すれば、相続税も少なくなります。

言葉を変えると、財産を取得した「割合」に応じて、全体の相続税を分けっこします。

遺産分割協議が成立し、結果的に、財産を取得する割合が

妻:60%
長男:20%
長女:20%

となった場合、それぞれの方の相続税は、

妻:1,450万円×60%=870万円
長男:1,450万円×20%=290万円
長女:1,450万円×20%=290万円

と計算します。

これが各相続人の相続税です。

最後に税額控除や2割増加算をする

配偶者の特例や、障害者控除などが適用できる場合、各相続人の相続税から控除します。

兄弟などが相続した場合には、相続税が2割増加算されます。

想う相続税理士

相続税の速算表は、相続税の計算の途中の段階で使う表であり、この表があれば、すぐに相続税が出る、というものではありませんので、ご注意を。