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【税理士が解説】遺贈にかかる税金は相続税!

相続税専門税理士の富山です。

今回は、遺贈により財産を取得した場合の税金の取扱いについて、お話します。


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遺贈とは?

相続税法の条文などを読みますと、「相続又は遺贈により財産を取得した者」のように、「相続」という言葉と一緒に、「遺贈」という言葉がたくさん出てきます。

この「相続」という言葉と「遺贈」という言葉の定義は、次のとおりです。

相続:個人が死亡した場合に、その者の有していた財産上の権利義務をその者の配偶者や子など一定の身分関係にある者に承継させる制度のこと
遺贈:遺言者(遺言をする(書く)人)が死後に財産を人(相続人に限らない。)に無償で譲与すること

つまり、遺言で財産をあげることを、遺贈と言います。

この遺贈は、その遺言を書いた人が死亡した時に効力を生じます。

そうすると、「死亡によって財産が移転する」ということを考えれば、相続も遺贈も実質的には同じですから、相続税法においては、相続だけでなく、遺贈により移転する財産ついても、相続税の課税対象としているのです。

遺贈に該当すると相続税が高くなる場合がある!

相続により財産を取得できる方(相続人)は、下記のように限定されています。

  1. 配偶者
  2. 子(子が亡くなっている場合には、その方の子など)
  3. 直系尊属(父母、祖父母など)(上記②がいない場合)
  4. 兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合には、その方の子)(上記②③がいない場合)

それに対して、遺贈により財産を取得できる方は限定されていません。

つまり、まったくの他人に対しても、遺贈であれば、相続財産をあげることができるのです。

ここで、注意していただきたい点があります。

財産を取得した方が、亡くなった方の

  1. 一親等の血族(子が亡くなった場合に代わりに相続人となるその方の子を含みます)
  2. 配偶者

に該当しない場合には、相続税が20%割増で計算されるのです。

ざっくり言うと、配偶者や子供以外は、みんな割増計算の対象です。

上記の「相続により財産を取得できる方(相続人)」でも、祖父母や兄弟姉妹は、この割増計算の対象となります。

「相続人になれない方にでも、遺言でなら財産をあげられる(遺贈できる)」という趣旨で遺言を作る場合には、全くの他人やちょっと遠い親戚の方に財産をあげることが多くなり、20%割増計算の対象となる可能性が高くなりますので、注意が必要です。

不動産取得税が課税される場合がある!

土地や建物などの不動産を、生前にもらった方がいいのか、それとも、相続の時にもらった方がいいのか、というご相談があった場合、不動産取得税や登録免許税の違いについてご説明しています。

この不動産取得税については、「相続」による名義変更の場合には、非課税となります。

ですから、その点では相続の時にもらった方が有利、というお話をすることもあるのですが、実は、遺贈で財産をもらった場合には、不動産取得税が課税になる場合があります。

地方税法
第73条の7 形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税
道府県は、次に掲げる不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない
一 相続(包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む。)による不動産の取得

上記のカッコ書きの後半を見ると、「相続人に対してなされた遺贈」とありますので、相続人の方が遺言でもらった場合は非課税です。

カッコ書きの前半を見ると、「包括遺贈」とあります。

包括遺贈は、「財産の全部又は一部を包括的に遺贈するもので、財産に対する一定の割合を示してする遺贈」です。

それに対して、「A土地を遺贈する」とか「B建物を遺贈する」というように、財産を特定するものを「特定遺贈」と言います。

包括遺贈は、財産が限定されていないため、全体的に財産を相続する感じになり、雰囲気的には相続人による財産の取得っぽい感じになります。

ですから、包括遺贈により財産を取得する方(包括受遺者)は、民法上、相続人と同一の権利義務を有することとされています。

したがって、不動産取得税も非課税です。

ということで、非課税となるのは、「相続」「相続人に対する遺贈」「包括遺贈」だけですので、残った「相続人以外に対する特定遺贈」の場合には、不動産取得税は課税となります。

想う相続税理士

遺贈の場合には、通常と異なる課税になる場合がありますので、ご注意を。