相続税専門税理士の富山です。
今回は、土地を譲渡した場合の所得税・住民税について、お話します。
相続で土地を取得したものの、特に使い道がなく、固定資産税が結構かかったりして困っている場合、自分の代でどんどん売ろう、と考える方もいらっしゃいます。
値段はともかく、売れることは良いことだと思います。
しかし、土地売買は通常、取引金額が大きくなるため、思わぬところに影響が出る場合があります。
譲渡所得は分離課税だから会社にバレない?
「副業しても会社にバレない方法」のようなテーマで書かれているネットの記事をよく見かけます。
確定申告の際に、住民税の納付方法として、特別徴収ではなく普通徴収を選択すればいい、という結論になっています。
住民税の納付方法には特別徴収と普通徴収がある
お給料をもらっている方は、例外を除いて、そのお給料から所得税や住民税が差し引かれて振り込まれたり、手渡しされているハズです。
その差し引いた住民税を、従業員の方の代わりに、会社などの事業主が納付しています。
これを「特別徴収」といいます。
もう1つ、「普通徴収」というものがあります。
これは、会社などを経由せず、個人の方に市区町村から納税通知書が届き、個人の方が直接納付する方法です。
確定申告書第2表の「住民税(・事業税)に関する事項」の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」のところで、このどちらかに丸を付けて選択することになっています。
合計所得金額が1,000万円を超える場合
会社の年末調整において、「給与以外の収入がない」と申告し、配偶者控除・配偶者特別控除の適用を受けていたとしても、確定申告において土地の売却による譲渡所得が加算され、合計所得金額が1,000万円を超えると、配偶者控除・配偶者特別控除の適用を受けることができません(所得税・住民税ともに)。
この場合、普通徴収を選択していると、土地の売却による譲渡所得に対する5%相当額の住民税の納税通知書がご自宅に届き、それをご自分で納付(「普通徴収」)することになります。
配偶者控除・配偶者特別控除が適用不可となったことによる住民税の増税分は、特別徴収、つまり給与から差し引かれる住民税に加算されます。
つまり会社にバレる、ということです。
所得税の増税分については、確定申告で納付することになります。
合計所得金額が2,500万円を超える場合
合計所得金額が2,500万円を超えると、さらに基礎控除の適用を受けることができません(所得税・住民税ともに)。
基礎控除の適用を受けて年末調整をしていて、土地の売却による譲渡所得が加算されて、合計所得金額が2,500万円を超えると、上記と同様、会社にバレます。
また、上記と同様、確定申告において、所得税の増税分を納付することになります。
想う相続税理士