相続税専門税理士の富山です。
今回は、市街化調整区域にある農業用施設用地の評価について、お話します。
宅地の評価は「固定資産税評価額×倍率(1.1とか)」
市街化調整区域にある土地は、通常、倍率方式により評価します。
課税地目が宅地であれば、宅地としての固定資産税評価額に、そのエリアに定められた倍率を乗じて、相続税評価額を計算します。
宅地は、「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地」と定義されています。
農業用施設用地も宅地
市街化調整区域にある畑の隣に建物が建っているとします。
農作業に使う農機具を保管しておいたり、農作物を出荷するための準備をするための建物です。
建物が建っているため、課税地目が宅地になっています。
そうすると、その宅地としての固定資産税評価額に、宅地の倍率を掛けて計算すればいいんじゃないか、と思われるかもしれませんが、話はそう簡単にはいきません。
この「倍率」は、通常の家が建っている宅地と共通で使用する倍率です。
しかし、農業用施設用地の「固定資産税評価額」は、同じ「宅地」でも、「農地ベースの評価額」(農地ではないので、農地よりは高い)になっているのです。
農地ベースの評価額に宅地ベースの倍率を掛けても、正しい評価額は計算できません。
元々は農地だった、という考え方で計算する
1㎡当たりの単価を出して、それに面積を掛ける、というスタイルで評価します。
まず、その宅地(農業用施設用地)が農地であるとした場合の1㎡当たりの相続税評価額を計算します。
近くにある農地の1㎡当たりの固定資産税評価額を調べます。
相続税評価額は、「固定資産税評価額×倍率」ですから、その1㎡当たりの農地の固定資産税評価額に、農地の倍率を掛けます。
これだと、単純に農地ベースの金額になってしまいます。
実際には、農業用施設が建設されているワケですから、造成工事をしているハズです。
その造成工事の分だけ、お金をかけた分だけ、評価が上がっている、と考えます。
つまり、農地ベースの金額に造成工事費用を加算すれば、今の土地の評価になる、ということです。
この場合の「造成工事費用」は、国税庁から発表されている1㎡当たりの「宅地造成費」の金額を使います。
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最後に面積を掛けますので、
(農地ベース+宅地造成費)/1㎡×面積=農業用施設用地の評価額
となります。
想う相続税理士
そのような場合には、近くにある宅地(農業用施設用地の宅地ではなく人が住んでいる家の敷地の宅地)ベースの金額で評価します。
この場合には、補正率等も加味して計算できますので、ご注意を。