想う相続税理士
親に奨学金を肩代わりしてもらうのは贈与
私が相続税申告のお手伝いをさせていただいたお客様の場合でも、亡くなった方の預貯金の動きを確認させていただいたところ、亡くなった方がお子さんに奨学金の残りと同額のお金を贈与されていた、ということがありました。
「最初から奨学金を借りずに親に学費を出してもらう」のと、「奨学金を借りたけれども自分で返還せずに親のお金で返還する」というのは、実質的に学費を親に負担してもらう、という意味では同じなのですが、前者は「教育費に充てるためのその都度贈与」なので非課税、後者は「借入金の返済資金贈与」なので非課税の適用なし、ということになります。
このような結論と解説のお話は、今回の記事のテーマとはズレてしまいますのでこれぐらいにしておきますが、今回の相談の内容を見ると、子供は奨学金を毎月返還していくのが大変、親はそのお金を出してあげるつもりがある、ということが分かります。
であれば、「一度に返済する必要があるのか」ということと、「贈与税が必ずゼロでなければならないのか」ということを相談者に確認する必要があるのではないか、と思うのです。
何年かに分けて贈与すれば非課税になる
例えば300万円の奨学金の返還をしなければいけないという場合、年間110万円を超える贈与は贈与税が課税されてしまいますが、逆に1年間の贈与が110万円以内であれば、贈与税はかからないワケですから、100万円ずつ3年間贈与すれば、丸々非課税で贈与できます。
もちろん、一度に返せない分、利息は発生してしまいますが、それでも親のお金で返還できる(時間はかかるけど、自分はお金を出さなくてもいい)ということなら、そのパターンで親に援助してもらう、という選択だって当然あり得ます。
本当に贈与税ゼロにこだわる必要があるのか
「3年だと待てない!(早くスッキリしたい)」という方の場合には、本当に贈与税をゼロに抑える必要があるのか、ということを検討していただく必要があると思います。
3年だと長過ぎる、というのであれば、2年で返済する、というのも手です。
そうすると、150万円ずつ2年間贈与する、ということになりますが、この場合、(他に贈与により取得した財産がなければ)1年当たりの贈与税は、(150万円△110万円)×10%=4万円ということになります。
「年間4万円なら喜んで払うよ。それで300万円返さなくてよくなるんだから」という方もいるでしょう。
「2年でも長い!」と思う方かもいらっしゃるかもしれませんが、2年目に入ったらすぐに贈与してしまうのも手です。
例えば1年目の12月、2年目の1月に贈与すれば、2ヶ月間の間に300万円の借金がなくなりスッキリします(スッキリし過ぎて贈与税の申告を忘れてしまってはいけませんが)。
贈与税は、「絶対に払うべきものではない、何としてでも避けるべきモノ」というモノではありません。
8万円の贈与税を払うのがバカらしいから、300万円の贈与は受けない、コツコツと自分で返していく、というのが正解でしょうか?
まとまったお金を調達できた方がいいですよね!
想う相続税理士秘書