相続税専門税理士の富山です。
今回は、小規模宅地等の特例における「家なき子特例」について、お話します。
マイホームがない相続人が自宅を相続した場合の特例がある!
相続税の計算においては、「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の特例」という二大減税特例があります。
後者の小規模宅地等の特例は、相続財産の中に一定の土地がある場合に、その土地について、最大8割引で評価できる、という制度です。
特例の適用パターンはいくつかあるのですが、その中に「家なき子特例」と言われるものがあります。
この「家なき」の意味は、「マイホームを持っていない方(家を持っていない方)」のための特例、という意味です。
自分が家を持っていなくても、配偶者が家を持っていて、その家に住んでいる場合には、この家なき子には該当しません。
賃貸アパートなどに住んでいる方が対象です。
その家なき子の方が、亡くなった方の自宅を相続することによって適用が受けられるパターンが、家なき子特例です。
家なき子特例は、「配偶者と同居親族がいないこと」が要件というようなことが言われますが、この点について、ちょっとお話したいと思います。
配偶者がいる場合には絶対に適用不可
家なき子特例は、亡くなった方に配偶者がいる場合には適用できません。
たとえ配偶者が亡くなった方の自宅に住んでいなくても、です。
例えば、老人ホームに入居していたり、または、亡くなった方の自宅とは違うところに住んでいたり、結果として、自宅には誰も住んでいない(同居親族がいない)状態だったとしても、家なき子特例は適用できません。
想う相続税理士秘書
同居しているのが相続人ではない親族であればOK!
租税特別措置法上は、「同居親族がいない」という要件について、
第69条の4(一部抜粋・追加)
被相続人(亡くなった方)の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族で政令で定める者がいない場合に限る
と書かれていて、この「政令で定める者」は、厳密に言うと、
租税特別措置法施行令
第40条の2(一部抜粋・追加)
被相続人(亡くなった方)の民法第5編第2章の規定による相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)
なのですが、「法定相続人」と考えていただければよいと思います。
ということは、亡くなった方が相続人ではない親族、例えば、孫や兄弟と同居していた場合にはOK、ということになります(もちろん、孫や兄弟が相続人に該当しないことが前提です)。
想う相続税理士
適用する場合には要件の確認不足がないか、十分にご注意を。