相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続財産の中に土壌汚染がある土地がある場合の対応について、お話します。
相続した土地に土壌汚染があると・・・
平成15年に土地汚染対策法が施行され、土壌汚染がある一定の土地については、都道府県知事がその土地の所有者に対し、有害物質の除去等を命ずることになりました。
相続した土地の中に、路線価1万円の道路に接している100㎡の土地が2ヶ所(A土地・B土地)あるとします。
基本的には、どちらも1万円×100㎡=100万円という相続税評価額になります。
しかしA土地には土壌汚染があり、B土地には土壌汚染がないとすると、A土地を相続した相続人は、相続した後に有害物質の除去費用等を負担しなければならないことになります。
想う相続税理士秘書
A土地は相続すると後からお金が出ていく土地、ということになります。
B土地と同じ評価額で、同じ金額の相続税を払うことになったら、相続する人がカワイソウです。
3種類の減価要素がある
国税庁が過去に公表した「土壌汚染地の評価等の考え方について(情報)」によると、土壌汚染地の相続税評価額は次のようになります。
汚染がないものとした場合の評価額
△①浄化・改善費用に相当する金額
△②使用収益制限による減価に相当する金額
△③心理的要因による減価に相当する金額
①②③の金額だけ評価額を下げることができる、ということです。
上記の②③については、「言っていることは何となく分かるけれども、どうやって計算するの?」という印象をお持ちになるのではないでしょうか?
これらについては、具体的な計算基準が明示されていないため、実際に適用するのは難しいものと思われます。
そうなると、適用できるのは①のみということになります。
理屈上は安く評価できるけど・・・
この①については、上記の情報に次のように書かれています。
「浄化・改善費用」とは、土壌汚染の除去、遮水工封じ込め等の措置を実施するための費用をいい、汚染がないものとした場合の評価額が地価公示価格レベルの80%相当額(相続税評価額)となることから、控除すべき浄化・改善費用についても見積額の80%相当額を浄化・改善費用とするのが相当である。
つまり、見積額の80%で計算する、ということです。
実際にやってみてかかった費用というワケではありません。
しかし、この「見積もりを取る」ということ自体が大きな作業となります。
適当に計算する、ということではありません。
なぜなら、その土地の土壌汚染の状況がどの程度かということを調べる必要があるワケですので、専門の土地汚染調査会社に依頼することになります。
このような会社は、実際に土壌汚染の除去等をするワケではありませんが、その調査は土地の地面を見るだけでできるモノではありません。
どれくらいの費用がかかるか、という見積もりを出すためだけでも、地面の下の調査をする必要が当然出てきますので、その見積自体に費用が多額にかかる可能性があります。
上記の例で言えば、100万円の相続税評価額の土地を安くするために、いくらまでなら出すのが妥当なのか、ということを考える必要があります。
想う相続税理士
「その評価減を適用することによってどれぐらい相続税が安くなるのか」との見合いを考えないと、場合によっては、お金はかけたけれども、そんなに相続税が安くならなかった、ということになる可能性もありますので、ご注意を。