相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税の税務調査において、なぜ調査官が亡くなった方や相続人の方の職業や仕事内容について質問するか、ということについて、お話します。
職業から収入を、収入から財産を想定する
調査官は、提出された相続税の申告内容が正しいかどうかを確認するために、税務調査にやってきます。
とはいえ、財産がどれくらいあるかというのは、その家その家によって全く異なりますから、「いくらぐらい財産が計上されていればOK(ちゃんと申告されていると思われる)」というように絶対的な金額で判断することはできません。
同じ「財産1億円」で申告した人がいたとしても、本当は8,000万円で申告すればいいところを間違って1億円で申告する人もいるかもしれませんし、1億5,000万円あるのに5,000万円の財産を隠して1億円で申告している人もいるかもしれません(財産を隠してはいけません)。
もちろん、事前の調査で計上もれとなっている財産を見つけている場合もありますが、亡くなった方の財産を100%把握することはできないはずです。
そこで調査官は、その家の「あるべき財産の規模感」を職業からも判断します。
亡くなった方の職業はどう影響する?
税務調査では、亡くなった方の生前の職業について聞かれます。
もちろん、確定申告などにより既に把握している部分もありますが、それだけでは細かい点は分かりません。
職業や役職そしてそれに伴う収入などにより、相続税の申告に計上されてる財産額が妥当かどうか、を判断をします。
収入と財産のバランスを見るのです。
亡くなった方が収入が多い方だったのであれば、財産もそれなりに残っているハズです。
調査官はそういう意識のもと、質問をしてくるはずです
職業について聞かれたら、その言葉の背景に、そういう意図がないか、感じるように意識してください。
もし残っていないのであれば、それはどうしてなのか(「~に使ってしまった」など)を説明できるようにしておきましょう。
相続人の方の職業はどう影響する?
相続人の方については、亡くなった方とは逆の見方をします。
財産が多いとオカシイ、という目で見ます。
収入が多ければ、財産が多くあってもおかしくないでしょう。
しかし、収入が少ないにもかかわらず、その相続人名義の財産が多い場合、調査官は、亡くなった方からお金が流れているのではないか、と考えます。
それが贈与であれば、非課税の贈与なのか、それとも、無申告の贈与なのか、贈与でなければ(贈与が成立していなければ)、名義預金ということで相続税の対象になるのではないか、という意識でチェックします。
相続人名義の預金だから、相続税の調査には関係ない、というワケにはいきません。
想う相続税理士