相続税専門税理士の富山です。
今回は、固定資産税評価額が付されていない家屋の評価について、お話します。
普通の家屋の評価は簡単
相続財産に家屋がある場合には、その家屋の「固定資産税評価額×1.0倍」で評価します。
つまり、固定資産税評価額とイコール、ということになります。
もし、その家屋がアパートなどの貸家の場合には、借家権割合(30%)を控除して計算しますので、固定資産税評価額の70%相当額、ということになります。
固定資産税評価額が分からない場合がある!
土地や家屋などをお持ちの方には、毎年春頃、市町村役場から「固定資産税の課税明細書」が届いているかと思います。
これは、毎年1月1日時点の土地や家屋に対して固定資産税が課税される仕組みになっているため、令和3年度であれば、令和3年1月1日時点に存在する土地や家屋に対して固定資産税が課税され、その課税明細書が令和3年の春頃届く、という流れになります。
そして、その固定資産税の基準となる金額が、上記の「固定資産税評価額」です。
ということは、令和3年中に新築した家屋については、令和3年1月1日時点においては存在していませんから、令和3年度の固定資産税の課税明細書には記載されません。
1月1日ベースで考えると、令和4年に初めて存在する家屋、ということになりますから、令和4年度の固定資産税の課税明細書に初めて登場する、ということになります。
そうすると、令和3年中にお亡くなりになった方が、亡くなる前の令和3年中に建築した家屋については、亡くなった時点において固定資産税評価額がない、ということになります。
ということは、「固定資産税評価額×1.0倍」という公式が使えない、ということになります。
計算方法は3パターンある
このような家屋の場合、
- その新築した家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額をベースに、構造や経過年数、用途などの差を考慮して計算する
- 「{再建築価額ー(再建築価額×0.9×償却率×経過年数)}×0.7」で計算する
- 申告期限までの間にその家屋の課税時期の状況に応じた固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額をベースに計算する
①は現実的ではありません。
②の「再建築価額」とは。同一の家屋を同一の場所で新築するものとした場合にかかる建築費のことです。
課税上弊害がなければ、その家屋の建築費を採用します。
③は翌年に付される固定資産税評価額を待つ感じです。
実際には②か③で評価するすることになります。
想う相続税理士
③は「その家屋の課税時期の状況に応じた」とありますので、厳密に言うと、翌年の固定資産税評価額に若干減価部分を加算する感じの評価になります。
どういうことかというと、固定資産税評価額は年の経過とともに安くなる性質があることから、翌年の固定資産税評価額は相続があった年の固定資産税評価額よりも理論的には安くなっている、ということになるからです。