相続税専門税理士の富山です。
今回は、準確定申告に係る納税や還付について、お話します。
準確定申告が還付になる場合には?
通常の確定申告においては、その年の翌年3月15日が申告期限となっていますが、亡くなった方の確定申告(「準確定申告」)については、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に申告をする必要があります。
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準確定申告においては、配偶者控除や扶養控除について月割計算を行いません。
例えば、6月30日に亡くなった方の準確定申告(半年分の確定申告)について、配偶者控除を38万円の半分の19万円にして計算するかというと、そんなことはせず、38万円で計算すします。
そうすると、所得控除の金額がいつもの申告よりも相対的に大きくなりますので、年の早い時期に亡くなった方で、年金から所得税が源泉徴収されているような方の場合、所得税が還付になる可能性が高くなります。
この場合、この還付金は、相続財産として相続税の課税対象になります。
また、還付金が大きい場合には、還付加算金(利子のようなもの)が一緒に支払われる場合がありますが、こちらは相続税の課税対象にはなりません。
受け取った方の雑所得(所得税の課税対象)になります。
準確定申告が納税になる場合は?
相続税は、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた正味財産を元に計算します(マイナスの財産を差し引くことを「債務控除」と言います)。
簡単に言うと、プラスの財産とは土地や預貯金など、マイナスの財産とは債務や葬式費用のことです。
準確定申告が納税となった場合には、その所得税の金額が「債務」として、債務控除の対象となります。
亡くなった方が予定納税をしている場合には?
前年の所得税の金額が一定の金額を超える場合には、「予定納税」をする必要があります。
予定納税とは、「税金の前払い」です。
所得税の金額が多いと確定申告の時期にまとめて払うのは大変でしょ、ということで、7月末・11月末に、前年の所得税の金額を基準として計算した所得税を前払いしておくのです(しなければならないのです)。
準確定申告については、6月30日までに亡くなった場合には、この予定納税の義務は生じません。
7月1日以降に亡くなった場合には、予定納税の義務が生じます。
例えば、7月15日に亡くなった場合には、予定納税の義務が生じますので、相続人は、亡くなった方の代わりに、予定納税の所得税を納める必要があります。
また、この場合、準確定申告を11月15日までにしなければなりませんが、その際、予定納税の金額を控除して(その分安く)所得税を納めることになります。
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