税務調査、相続税に包囲網 贈与財産で申告漏れ多く: 日本経済新聞 https://t.co/tYE6wZAoYr
— 想う相続税理士 秘書 (@japantaxprosec) September 11, 2021
相続税専門税理士の富山です。
今回は、これから厳しくなることが予想される、相続税の税務調査に対する事前対策について、お話します。
申告したら終わりです。
もちろん、間違いを正す修正申告書を提出することはできますが、修正申告書を提出したら、チェックが甘くなるかというと、そんなことはありません(おそらく逆です)。
最初から税務調査が来ないような申告書を提出しましょう(それでも来るかもしれません)。
そのためには、相続税の申告・計算における「決まり」や「考え方」、「計算構造」をきちんと理解する必要があります。
亡くなった方の亡くなった時点の財産を整理すれば、相続税の申告ができるワケではありません。
過去の贈与が相続税の申告に影響する
税務上、贈与には「暦年課税贈与」と「相続時精算課税贈与」の2種類があります。
「相続時精算課税贈与」は、必ず相続税の課税対象となります。
相続税の申告の際に、その贈与財産を申告することを条件として、贈与の時に贈与税がかからない(または、かかっても一定の税率で済む)ということになっているのです。
想う相続税理士秘書
「暦年課税贈与」についても、相続税の課税対象となる場合があります。
財産を取得した方が、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産は、相続税の課税対象に加算されます。
相続人でも、相続により財産を取得しなければ、3年以内の贈与財産に相続税は課税されません。
逆に、相続人以外でも、遺言により財産を取得した方は、この3年以内加算の対象となります。
生命保険金を取得した方も、3年以内加算の対象です(相続人以外でも)。
相続税の税務調査で過去のお金の動きがチェックされる
上のお話から、「相続時精算課税贈与がなければ、3年以内の贈与しか関係ないんだな」という風に思う方がいらっしゃるかもしれませんが、税務署は相続があると、もっと過去の預貯金の動きも確認します。
多額の出金があれば、預貯金が他の財産に化けていないか、親族などに流れていないか、という目でチェックします。
親族などに流れている場合、相続税の申告書を作成する上で、それが「贈与」なのか、それとも「貸付」なのか、という判断をする必要があります。
「贈与」したつもりでも、「贈与」になっていなければ、相続税の申告対象(「貸付金」)になる可能性があります。
油断せずに税務調査を想定した申告書を作成する
相続税の申告を甘く見ないようにしましょう。
確かに、財産がシンプルかつ少額で、生前のお金の動きもほとんどない場合には、相続税の申告は簡単にできるかもしれません。
場合によっては、税理士に依頼せず、相続人の方がご自身で申告することも可能だと思います。
しかし、「相続税をあまり納めたくない」という気持ちがあると、勝手に「これは申告しなくても大丈夫」などと考えてしまいがちです(たまにいらっしゃいます)。
上記のツイッターの記事にもあるとおり、税務署は過去の税務情報や金融機関・法務局・市町村役場などから情報を入手した後に、ご自宅にやってきます。
こちらは人生で初の相続税申告・税務調査、それに対して税務署はそれを業務として組織でずっとやってきています(内部での情報の蓄積も当然あります)。
本当に「大丈夫」でしょうか?
相続税の申告をできるだけ「大丈夫」にするためには、税務調査で問題となりそうな点を事前に把握し、その論点を整理しておくことです。
つまり、税務調査で聞かれても、きちんと回答できるように準備しておくことです。
想う相続税理士