急な親父から電話
父「100万いる?」
砂「何急に」
父「おばあちゃんの資産相続税かかるから今のうちに減らしとけって税理士にいわれた100万なら非課税って」
砂「贈与税は110万まで非課税だけど、生前贈与の話は週末暇みたいなノリでするもんじゃない」
父「現生がいい?通帳がいい?」
砂「話聞け」— お先におやすみします。 (@sunabahieteruka) March 18, 2021
相続税専門税理士の富山です。
今回は、孫への贈与についてお話します。
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贈与税の課税は2パターンに分かれる
贈与税は、個人の方が個人の方から財産をもらった時に課税される税金です。
財産をもらった人に納税義務があります。
「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの課税方法があります。
暦年課税
もらった人ベースで年間110万円の非課税枠があります。
つまり、Aさんがある年の1/1から12/31までの間にもらった財産を合計して、それが110万円以下であれば、贈与税はかからず、110万円を超える場合には、贈与税がかかる、ということです。
AさんがBさんから110万円、Cさんから110万円もらった場合、動いている金額はそれぞれ110万円以下ですが、もらった人ベース(Aさんベース)だと、110万円+110万円=220万円となり、110万円を超えるので、Aさんには贈与税がかかります。
相続時精算課税
原則として60歳以上の父母や祖父母から、20歳以上の子や孫に対して財産を贈与した場合に、父母や祖父母などの相手方ごとに、生涯で合計2,500万円の非課税枠がある制度です。
「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。
亡くなった時に残っている財産を減らせるのは?
「相続時精算課税」の場合、財産の金額2,500万円まで贈与税は非課税ですが、その贈与財産に相続税がかかります。
つまり、贈与により相続財産を目減りさせようと思っても、後から相続税がかかりますので、意味がありません。
ただし、「後から相続税」をかける際、贈与した時の財産の金額をベースに相続税を計算します。
相続時精算課税による贈与をして、10年後に相続が発生した場合、相続の申告では、10年前の贈与時の財産の評価額で相続税を計算することになります。
ということは、その財産が値上がりしていたら、値上がり前で課税を受けるので、値上がり部分を無税化できます。
逆に、値下がりした場合には、相続の時に既に価値がない部分に対しても、相続税を払うことになります。
ですから、相続財産を減らす贈与は、基本的には「暦年課税」を選択することになります。
3年以内の贈与には特別な取扱いがある!
相続でもらった財産に過去の贈与財産の金額を加算
暦年課税であれば、年間110万円の非課税枠があるのですが、相続財産を取得した方が、相続発生日前3年以内に、その亡くなった方からもらった財産については、相続税が課税されます。
相続でもらった財産がなければ?
相続人であったとしても、その亡くなった方から相続の発生により財産を取得していなければ、3年以内の贈与についても、通常の取扱いになります。
つまり、110万円を超えた場合にだけ贈与税が課税され、相続税は課税されない、ということになります。
孫は通常、相続の発生により財産を取得しないため、3年以内の贈与について、相続税は課税されません。
その孫の親が亡くなっていて、その親の代わりに財産を相続する場合や、遺言がある場合には、3年以内の贈与について、相続税が課税されます。
そもそも「贈与」が成立していないとダメ
「110万円以下なら贈与税は非課税」とか、「相続の発生により財産を取得していなければ、3年以内の贈与について、相続税は課税されない」というお話をしましたが、その財産の移転について、「贈与」が成立していなければ、その贈与した財産に対して、相続税が課税されます。
想う相続税理士