ちなみに、相続税55%は最高税率。財産の55%を持ってかれるわけではない。相続税はかなり酷いけど、そこまでは酷くないです。
時々、財産5千万円で相続税を2千万円くらい払うつもりの方が相談にお見えになる。どれだけ相続税の恐怖で苦しまれた事か・・・。— 酒井文人✿減税に投票する人 (@fumi32828) March 13, 2021
相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税の税率についてお話します。
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相続税の速算表を見てみると・・・
相続税の計算をする時に「速算表」というものを使用します。
↑上記の画像は相続税の申告書第2表ですが、この第2表の下の方に記載されています。
参考 No.4155 相続税の税率国税庁↑こちらの国税庁タックスアンサーにも記載されています。
見ていただくと、「税率」の一番高いところが「55%」となっています。
「財産の金額が6億円(600,000千円)を超えると、半分以上持っていかれちゃうの?」という声が聞こえてきそうです。
「6億円超」のところではなく、「1億円(100,000千円)以下」のところを見ても、「30%」となっています。
「1億円『以下』でも3割持っていかれるのか・・・」という声が聞こえてきそうです。
「6億円超」は財産全体の金額ではない
この「55%」とか「30%」という税率は、財産全体に対しての税率ではありません。
第1段階:正味の財産を計算する
相続税は、大雑把に言うと、まず第1段階として、亡くなった方の土地や預貯金などのプラスの財産から、借金や葬式費用などのマイナスの財産を引いて、一部の生前贈与財産を加算します。
第2段階:相続税の非課税枠を適用する
次に第2段階として、この金額から、「遺産に係る基礎控除額」(相続税の非課税枠)をさらに引きます。
ご存知の方も多いかと思いますが、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されるものです。
この引いた残りを、「課税遺産総額」といいます。
第3段階:全体の相続税を計算する
そして第3段階として、この課税遺産総額を、各法定相続人の法定相続分で分けます。
例えば、課税遺産総額が1億円で、法定相続人が妻+子供(長男・次男)2人の計3人だった場合、
1億円×1/2(妻の法定相続分)=5,000万円
1億円×1/4(長男の法定相続分)=2,500万円
1億円×1/4(次男の法定相続分)=2,500万円
となります。
この法定相続分で分けた後の「5,000万円」「2,500万円」「2,500万円」に対して、先ほどの速算表の税率を適用します。
ですから、妻の法定相続分「5,000万円」に対しては、税率は20%(5,000万円以下)を適用し、長男・次男の法定相続分「2,500万円」に対しては、税率15%(3,000万円以下)が適用されます。
課税遺産総額が1億円だからと言って、30%の税率が適用されるワケではありません(6億円超の場合も同様です)。
また、速算表に「控除額」という欄があります。
計算した税額からこの控除額を控除します。
(妻の法定相続分)5,000万円×20%△200万円=800万円
(長男の法定相続分)2,500万円×15%△50万円=325万円
(次男の法定相続分)2,500万円×15%△50万円=325万円
合計:800万+325万円+325万円=1,450万円
この1,450万円というのが、相続税の総額(合計額)になります。
第4段階:各相続人の相続税を計算する
最後に第4段階として、この相続税の総額を、実際に相続した財産の割合で按分して、各相続人などが按分後の相続税を各自納めることになります。
全体の相続税のうち、相続した分だけ納める、ということです。
例えば、長男が財産を3割相続したのであれば、
1,450万円×30%=435万円
が、長男の納めることとなる相続税ということになります。
実質負担率に着目!
法定相続人が3人ということは、遺産に係る基礎控除額は、
3,000万円×600万円×3人=4,800万円
ということになります。
大雑把に言うと、
・借金などを引いたりした後の正味の財産が1億4,800万円あって
・そこから遺産に係る基礎控除額4,800万円を引いて
・残りの1億円で相続税を計算して
・相続税の合計額が1,450万円
ということです。
①1億4,800万円に対して、②1,450万円ですから、
②÷①≒9.7%
です。
実質負担率は、10%もない、ということになります。
想う相続税理士