相続税の取得費加算は概算取得費の場合でもできるというベタな論点、知っていても相続税の申告自体を別の税理士がやっていて、自分は関わってないと、相続があったこと自体の記憶が希薄化して失念するリスクはあるなと。ちゃんと登記を見れば思い出すとは思いますが、他の論点に気を取られてると…🤔
— はるか@税金女子 (@haruka_zei) April 13, 2021
相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続に関係する土地などの譲渡の特例について、お話します。
相続した土地や建物などを譲渡すると、所得税が安くなることがある!
相続などにより取得した土地や建物などを、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合、その譲渡に係る所得税が安くなることがあります。
「ことがある」というのは、相続税を払っていないと安くならないこと、また、その譲渡による所得が譲渡所得であること、などが要件となっているからです(事業所得の場合は適用不可)。
所得税が安くなるのは、相続税の一部を経費として計上することができるからです。
これを、(相続財産を譲渡した場合の)「取得費加算の特例」と言います。
相続税が出なくても、所得税が安くなることもある!
上記の「取得費加算の特例」は、相続税を払っていることが前提でした。
その土地や建物などを手に入れるために相続税を払った、ということは、売る時にはその相続税は経費になる、という考え方です。
では、相続財産が遺産に係る基礎控除額(相続税の非課税枠)以下であったり、また、配偶者の税額軽減などを適用したことにより、相続税を払わずに手に入れた土地や建物などは、売っても所得税が安くならないのでしょうか。
相続税を払っていなくても、所得税が安くなる譲渡があります。
空き家になっている亡くなった方のご自宅を譲渡した場合です。
「相続空き家の特例」(被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例)を適用することができれば、その譲渡所得に対して、3,000万円の特別控除の適用を受けることができます。
前後のストーリーが重要
土地などを譲渡する時には、その土地の過去に目を向けましょう。
相続があった時には、または、相続の発生が予想される時には、その相続だけでなく、その後の財産の売却まで見据えて、特例の適用ができるように対策を打ったり、遺産分けを考えたりしましょう。
想う相続税理士
税理士にとっても、それがヒントになったりするはずです。