【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

生命保険金の割合が大きいと大変!

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続で生命保険金を取得した場合の注意点について、お話ししたいと思います。

生命保険金というのは、相続税の課税対象にはなりますが、一般的な土地や預貯金とは、その性質が異なります。


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生命保険金は原則として遺産分割の対象外

遺言がない場合、土地や預貯金については、遺産分割協議という話し合いによって、誰がその財産を相続するのか、相続人間で決めることになります。

ところが、生命保険金については、元々、保険契約により受取人が指定されているため、遺産分割協議をしなくても、保険金を請求すれば、その受取人が生命保険金を取得することができます。

国税庁タックスアンサー
No.4114 相続税の対象になる死亡保険金(一部抜粋)
被相続人が保険料を支払っていた生命保険金は、相続税法上のみなし相続財産であり、本来の相続財産ではないため、遺産分割の対象とはならず、契約上の受取人が、相続又は遺贈により取得したとみなされ相続税の課税対象となります。

生命保険金は、土地や預貯金などのように、亡くなった方が生前持っていた財産ではありません。

ですから、厳密には相続財産ではないのです。

しかし、その亡くなった方の死亡を原因として支払われるものであるため、相続財産とみなして、相続税を課税することにしているのです。

生命保険金の金額が大きいと持ち戻しの対象となる場合がある

遺産分割の対象にならないということは、「その受取人のもの」ということになります。

しかし、例えば、土地や預貯金などの相続財産が0で、生命保険金が1億円だったとします。

その1億円を長男が受取人として取得し、他の相続人が財産を全く相続できないとしたら、相続人間に大きな不公平が生じてしまいますよね。

このような場合、最高裁の判決において、生命保険金について「持戻しが相当」とされたケースがあります。

「持戻し」とは、亡くなった方から生前にもらっているものについて、それを特別受益(生前に特別に受けた利益)として、相続財産に加えて、相続人間で取り分を決める、ということです。

亡くなった時点の相続財産ではなくても、生前に財産の前渡しがあった、という考え方です。

前渡しなので、それも含めた上で、相続分を計算する、という考え方です。

平成16(許)11  遺産分割及び寄与分を定める処分審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件(一部抜粋)
上記死亡保険金請求権の取得のための費用である保険料は,被相続人が生前保険者に支払ったものであり,保険契約者である被相続人の死亡により保険金受取人である相続人に死亡保険金請求権が発生することなどにかんがみると,保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となると解するのが相当である。

想う相続税理士

生命保険金の金額が大きい場合には、その取扱いに十分ご注意を。