相続時精算課税制度により贈与を受けた財産は、相続税の課税対象として、通常の相続財産と一緒に、相続税が課税されます。
相続時精算課税制度によりもらった財産と、通常の相続によりもらった財産の合計に対応する相続税から、相続時精算課税制度を適用した際に納めた贈与税を差し引いた金額を、最終的な相続税として納めることになります。
「何で贈与税を差し引くの?」と疑問に思われるかもしれませんが、相続時精算課税制度により支払った贈与税というのは、相続税の「前払」的な性質を持っているんですね。
2,500万円という非課税枠を超えた部分については一律20%の贈与税を納めなければならないんですが、それは「相続時」に「精算」しましょう、という仕組みになっているので、計算した相続税よりも「前払」した贈与税が多い場合には、その差額を「精算」して還付してもらえるんです。
ここが通常の贈与による贈与税と違うところです。
「贈与税が返ってくる場合なんて、そんなにないんじゃないの?」と思うかもしれませんが、相続時精算課税制度により財産を大きく動かしている(多額の贈与をしている)にもかかわらず、相続財産の総額が比較的小さい場合にはあり得るんです。
例えば、相続時精算課税制度により、3,000万円の財産の贈与を受けた場合、
贈与税は、(3,000万円△2,500万円)×20%=100万円
です。
3,000万円に対して100万円ですから、税負担率は3.3%ですね。
相続時精算課税制度による贈与財産を含めた相続財産の総額が6,000万円で、相続人が子供3人の場合、相続税の総額が120万円で、
贈与財産3,000万円に対応する相続税は、60万円
です。
3,000万円に対して60万円ですから、税負担率は2%ですね。
このように、相続税の税負担率の方が低くなるような場合には、還付が発生する可能性が高くなります。
この場合、60万円△100万円=△40万円が還付されます。