税務調査1日目午前中の雑談の重要性
相続税の税務調査は、通常、例えば、お父様がお亡くなりになった場合には、そのお父様のご自宅で行われます。
法人税や所得税の税務調査でもそうですが、調査官が来て、いきなり書類などのチェックをし出す、ということはありません。
調査官も人間です。
スムーズに税務調査を行いたいですから、世間話から始まります。
そして、ある程度、話をしやすくなった状態で、生前のお父様の様々なことについて、質問をされます。
死因や、お亡くなりになるに至るまでのお体やご病気の状況などについても、詳しく聞かれます。
病状などについてのヒアリングの意味とは?
例えば、ご病気の進行等により、体の自由が利かない、というような時期に、預貯金から多額の引き出しがあったとしたら、どうでしょうか?
その引き出しについて、調査官から、「この引き出したお金は、何に使ったのですか?」という質問があった場合、「それは、父でないと分かりません」という回答は、当然通用しません。
相続人の方が、お父様に言われて引き出したか、もしくは、医療費などに充てるために、お父様に言わずに、引き出したのかもしれません。
いずれにしろ、相続人の方など、親族の方が引き出して、その使途などは知っているはずです。
認知症を患っていらっしゃった場合も同様です。
その時期に、お金の引き出しがあった場合、やはり相続人の誰かが引き出しているはずです。
誰が引き出したのか、そして、そのお金を何に使ったのか、という質問には答えらるはず、ということになります。
相続税の税務調査を受けるときの心構え
隠そうとすると、必ずボロが出ます。
調査官は調査のプロです。
それに対して、これが法人税や所得税の税務調査なら、経営規模や利益が大きい法人の社長や個人事業者の方であれば、数年に一度などの割合で、税務調査を経験しているでしょうから、慣れっこになっていることでしょう。
しかし、相続税の税務調査は、調査官が何件も税務調査事案を並行して抱えているのに対し、調査を受ける側は、ほとんどの方が今まで経験したことがない、という劣勢の状態で行われます。
それに加えて、調査官は、事前に銀行等に照会することで、相続人以上に、お金の動きを把握してきている場合もあります(申告した方は、いくら相続人とはいえ、お父様の生前のことについては、分からないことも多いというのに!)。
ですから、相続税の税務調査は、税務署に有利な進行になります。
大事なのは、よく考えて回答することです。
安易に質問に乗せられる感じで回答してはいけません。
そして、自分がどう回答したか、きちんと覚えておくことも非常に大切です。
なぜなら、前に答えた内容とその後の回答との間にズレがあると、そこを突かれて形勢が悪くなる場合が多いからです。
調査官の質問の裏の意図には気付けなくても、上記の点を頭に入れて、回答してください。
とはいえ、かなり緊張して調査に臨むことになるでしょう。
調査の前に、きちんと立会税理士と打ち合わせをして、心の準備をしておきましょう。