【今回の相談】
配偶者はお金が無くなったら配偶者居住権を売れるの?
自宅を相続した長男
売れたらオカシイ。配偶者居住権
●配偶者居住権は、「譲渡することができない」
配偶者居住権は、一種の「債権」(居住することを請求できる権利)なので、売ってお金にできそうですけどね。
想う相続税理士
うーん、でも配偶者だからこそ認められた「権利」ですからね。
それに、配偶者の生活環境維持のための権利なんだから、それを売られてお金に変えられちゃったら、「配偶者居住権って何なの?」って話になっちゃいますよね。
配偶者居住権が創設された意味合いを考えれば、売れないのは当然です。
相手が自宅の所有者であっても売れません
配偶者居住権は、自宅建物の所有者(例えば「長男」、以後、所有者=長男と仮定。)にも売れないんですか?
想う相続税理士
そう。
第三者だけじゃなく、自宅の所有者である親族にも売れません。
配偶者が元気なうちはいいけど、その後が問題ですよね。
使わない配偶者居住権が残っている場合が問題
配偶者が老人ホームとかに入所したりしても、配偶者居住権は残るんですよね?
想う相続税理士
譲渡できないから、消滅でもしない限り、残ることになりますよね。
長男がその自宅を売却したい時に、配偶者がもう住んでいないような場合であったとしても、配偶者居住権が残っていたら、買う人はいなさそうですよね?
想う相続税理士
配偶者が、配偶者居住権を「放棄」するしかなさそうですよね。
その自宅に住むことを「強制」する制度じゃないから。
長男がトクした時の課税関係は?
「放棄」することにより、自宅全体が長男のモノになるとしたら、放棄により長男は「トク」をすることになるんですか?
長男は、配偶者からトクさせてもらった(配偶者から長男に贈与があった)ということで、贈与税の申告が必要になるんですか?
想う相続税理士
配偶者が亡くなった時にも、配偶者居住権が消滅するので、長男がトクする感じになるんだよね。
この、「放棄」や「消滅」時の長男に対する課税がどうなるかに注目だね。
単純に課税されないってことにすると、租税回避に使われる恐れもあるよね!
どういうことですか?
想う相続税理士
放棄しても贈与税がかからないとしたら、配偶者居住権を目いっぱい高く評価しておいて、しばらくしたら、放棄しちゃうとかね。
そうすると、無税で長男に家の持分が移転する感じになっちゃうよね。
なるほど。